2024.08.09

広島市中央公園エリアマネジメント協議会

「広島市中央公園エリアマネジメント協議会」は、中央公園エリアでの共同プロモーションやイベント連携、回遊性向上などの取り組みを通して、エリアの魅力を向上させることを目的とした団体です。その理事を務めるNTT都市開発株式会社 中国支店長の中村高士さん、同じくNTT都市開発株式会社で街づくり・開発推進担当(総括)部門長として各事業を統括する岡本篤佳さんにお話を伺いました。

  
 目次
 ・広島市初のPark-PFI事業に取り組んだ理由
 ・都⼼に新しい⼈の流れと賑わいをつくりたい
 ・広島は日本最先端のウォーカブルシティになる

広島市初のPark-PFI事業に取り組んだ理由

「広島市中央公園というと緑地部分だけをイメージされる方が多いかもしれませんが、ゲートパークや広島城も含む約42.8ヘクタールに及ぶ広域なエリアを指すんですよ」と、地図を指差しながら、管轄エリアをわかりやすく教えてくれたのは、「広島市中央公園エリアマネジメント協議会」の理事長を務める中村さんです。

広島市中央公園は広島グリーンアリーナ、中央公園ファミリープール、ひろしま美術館、広島城など様々な集客施設が集まる場所。​​年間470万人が訪れるという

中央公園エリアでは、2023年3月の旧市民球場跡地の「ひろしまゲートパーク」のオープンを皮切りに、2024年2月にはサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」が開業。開幕戦ではサンフィレッチェが勝利を収め大いに盛り上がったのは記憶に新しいところです。

さらに2024年8月には「エディオンピースウイング広島」横の中央公園広場「ひろしまスタジアムパーク」内に「HiroPa(ヒロパ)」が、また 2025 年には広島城三の丸の一部エリア(商業施設)の開業が予定されています。

このように広島都心といわれる広島市中心部の開発が急速に進んだ背景には、2020年、広島市が中四国地方で初めて「特定都市再生緊急整備地域」に指定されたことがあります。また現在進行中の複数の事業で「PFI」(※1)という手法が採用され、中でも広島市中央公園の整備には広島市初の「Park-PFI(公募設置管理制度)」が実施され、NTT都市開発株式会社は複数の地元企業とコンソーシアム設立し、その代表法人として公募に応募、計画が認定されました。

「弊社が1994年に広島の都心に基町クレドパセーラという商業施設を開業してからちょうど30年が経ちました。我々は東京の会社ですが、広島市初のPark-PFI事業(※2)として行われた公募に広島の地元企業様とともに応募したのは、今、広島都心全体が大きく変わろうとしている中で、このエリア一帯の価値向上に貢献したい。そうした広島への強い思いが根底にあったからです」(中村さん)

※1 PFIとは民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法のこと

※2 Park-PFIとは公園に施設を設置して運営する民間事業者を公募で選定する制度のこと

都⼼に新しい⼈の流れと賑わいをつくりたい

開発が進む広島都心部において、「戦災復興のシンボルとして整備され、広島の都市空間の形成に大きな役割を果たしてきた広島市中央公園は『世界に誇れる市民公園』になるポテンシャルがある」と中村さん。
「広島は世界に選ばれる街。広島市民のみならず、広島を訪れる国内外からの観光客など、多様な人々が集う公園にしたい」とその意気込みを語ります。

その実現に向けて、現在はさまざまな取り組みの企画や実施に向けて布石を打っている段階だと説明するのは、様々なまちづくり事業を統括する岡本さんです。
「地域の方とも積極的に関わりながら、中央公園エリアを皆さんに愛してもらえる場所に育てたい」と岡本さん

「中央公園エリアの整備事業を進めるにあたっては、例えばエディオンピースウイング広島はスポーツ・レクリエーションゾーン、広島城エリアは歴史ゾーンといったように、その場所が持つ歴史的文脈や背景に則って広島市によってゾーニングされています。すでに開業したひろしまゲートパークは、イベント・集客ゾーンとして、週末を中心に国際イベントから小規模なイベントまで様々なイベントを開催しています」

現在はそうしたゾーン同士の回遊性の向上にも力を注いでいるとし、例えばひろしまゲートパークにおいては、原爆死没者慰霊碑から原爆ドームを見通す「平和の軸線」上に、全長約190mの桜並木の石畳の歩行路「ピースプロムナード」を整備。この場所が、丹下健三氏の構想に基づき造成されてきた歴史を持つという、その記憶を継承しつつ、平和公園との回遊性の向上にも努めたといいます。

またこうした周辺の環境を意識した整備事業は、地域住民にもいい影響を及ぼしているという岡本さん。
「今回、ひろしまゲートパークに石畳のピースプロムナードができたことで、地元の基町小学校にある平和軸線上にも、ここと同じ石畳が敷かれたんです。こうして周辺の皆さんにも様々なことを感じてもらいながら、ここをどうやって皆さんに愛してもらって、受け入れていただくかということは非常に重要で、今回のような反応をいただけたことはとても嬉しいこと」と目を細めました。

平和の軸先上につくられたプロムナードは旧球場の記憶と周辺環境も繋いでいる/画像提供:NTT都市開発株式会社

広島は日本最先端のウォーカブルシティになる

「エディオンピースウイング広島」が開業した現在、2025 年に一部開業予定の広島城三の丸との間を結ぶペディストリアンデッキの建設も進められており、今後は「ひろしまスタジアムパーク」​​の「HiroPa(ヒロパ)」や「ひろしまゲートパーク」など、中央公園エリア内の施設間の回遊性を高める連携イベント等も積極的に開催する予定だといいます。

2024年8月には「HiroPa!」も開業。中央公園エリアを中心に広島都心部が大きく変わりつつある/画像提供:NTT都市開発株式会社

施策を進めるにあたって、2年前に広島に赴任した中村さんは驚いたことがあったといいます。それは広島城と原爆ドームの近さ、そしてこの2つの広島駅とのほどよい距離感でした。
「そのことに気づいたのは広島に赴任してからですが、中央公園エリアと縮景園があるエリアあたりまで回遊性を高めれば、広島の江戸時代から現代までに至る時間の旅と、そこからさらに広島駅までの空間の旅を含めた、回遊もつくることができる。それは広島の大きな魅力です」と中村さん。

また広島の都市としてのポテンシャルについて「広島は都市としてのポテンシャルが非常に高い。ある意味、全て揃ってるんです。世界ではもう十数年前から人中心の『ウォーカブルな街づくり』がスタンダードになっていますが、日本ではまだ進んでいない。それがいきなりできる都市は広島しかないと思っています」(中村さん)。

岡本さんも「ウォーカブルな街をつくるために今からトラムを引いてなんとかしようとしている地域もある。なのに広島の都心部にはもう既に路面電車が走っているという、それはすごい強みだし、凄みでもあると思います」といいます。

さらに、広島には世界に選ばれる都市になるために必要といわれる「唯一性」「多様性」「回遊性」の3つが全て備わっていると中村さんは続けます。
「都心でありながら自然も豊かで、スポーツ施設も文化も施設も揃っていて、近郊に世界遺産がある。こんな都市ってなかなかないですよ。広島市民の皆さんはもっと誇りに思っていいと思う」

「選択肢が多い方がよりウェルビーイングな街であるといわれていますが、豊富なコンテンツに恵まれた広島都心エリアの価値は、ほかの都市に比べてもユニークなところなので、そこはそれぞれを点として捉えるのでなく、面としてしっかりアピールしていきたいし、それがエリアマネジメント協議会が担うべき役割だと思います」と同協議会の責任を示しました。

最後に中村さんが広島について思うことを、今後の抱負を交えながら話してくれました。
「広島という街が語られるとき、ややもすれば戦後の復興ばかりが注目されがちです。しかし広島の歴史は広島城の築城の頃から脈々と続いていて、干拓により拡大を続け、政治、経済、交通の中心地として発展してきたという、城下町としての歴史も有する都市です。また、武家茶道の流れを汲む上田宗箇流など、この地で守り伝えられてきた文化もある。そうした歴史も全部ひっくるめて、今の広島があるということに誇りを持って、それを国内外に上手にアピールしていきたいですね。当協議会の代表法人でもある弊社、この広島市中央公園を舞台とした広島都心部でのライフスタイルの構想を、「Urban Park Life HIROSHIMA」と証して、発信を始めております。お手すきの時にぜひご覧いただけると幸いです」

「もっと、まちと、ひとつに。 URBAN PARK LIFE HIROSHIMA」


profile

広島市中央公園エリアマネジメント協議会
ひろしまゲートパーク、ひろしまスタジアムパーク、エディオンピースウイング広島、広島城三の丸の運営事業者などが主に集まり、中央公園エリアでの共同プロモーションやイベント連携、回遊性向上などの取り組みを通して、エリアの魅力を向上させることを目的とした団体です。

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